実写のほう 高嶋雄希

ハリウッドのやつ

なんで見に行けてないかって言うと周囲の反応とこれ読んで正直迷ってるから(;´∀`)

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天才・士郎正宗との出会い

原作となる漫画『攻殻機動隊』を読んだことが士郎正宗さんとの出会いでした。SFというジャンルではあるけど、将来を見抜く目が鋭くて、天才っているんだなと。そのあとに押井守さんが映画版『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』をつくることになって、実際にご本人とお会いすることになったんです。こういったら失礼かもしれないけど、見た目はごく普通の方なんですよ。でも、七人の侍』の無口な剣客(久蔵)のように、静かに人を斬るような鋭さがあって。無駄なことを一切言わない。人と話をすることが多いプロデューサーという立場の自分から見ると、怖いくらいの存在でした。面白かったのは、士郎さんの視点でしたね。

石川光久 | MITSUHISA ISHIKAWA

1958年東京都生まれ。IGポート代表取締役社長、Production I.G代表取締役社長。攻殻機動隊」シリーズプロデューサー。アニメーション制作会社タツノコ・プロダクション」で制作進行、プロデューサーを経て、1987年にフリープロデューサーとして独立。同年末、アニメーション制作会社アイジー・タツノコを設立、代表取締役社長に就任。1998年株式会社プロダクション・アイジーに組織変更。実写版『ゴースト・イン・ザ・シェル』エグゼクティヴプロデューサーも務める。

士郎正宗さんは
見た目はごく普通の方。
でも、七人の侍』の
無口な剣客(久蔵)のように
静かに人を斬るような
鋭さがある

士郎さんはご自身が絵描きということもあって、アニメーションの制作現場にすごく配慮してくださるんです。普通の原作者なら「作品をおろそかにしないでほしい」と言うだろうところでも、士郎さんは「石川、アニメーターをおろそかにするな」とおっしゃっているような気がする。ぼくはプロデューサーとしては監督が構想しているものを最大限つくれる現場にすることがいちばん大事だなと思っていたんだけど、士郎さんは常に「実際に絵を描くアニメーターたちを大切にしてほしい」とお考えになっているんです。

映画版『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』をつくるにあたり、プロデューサーのぼくがアニメーターたちの仕事をしやすい環境をつくれるかどうか。士郎さんにとってぼくを信頼できるかどうかを見極めるポイントは、その一点だったのかもしれないなと思っています。当時、ぼくは求心力のある作品をつくりたいと思っていましたし、映画版『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』はProduction I.Gにとって、まさしく大切な作品になりました。

 

攻殻機動隊」のアニメ化にかけた想い

実は、押井さんが映画版『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』をつくるときには面白さだけでなく、怖さも半分くらいあったんです。士郎さんの原作漫画は情報量も多いし、読者が読み込むことで理解できる高尚な面白さがある。難解さがあると言ってもいいかもしれない。

片や押井さんもアニメ業界では難解な作品をつくる人として知られていた。その難解さに難解さを掛け合わせたら、どうなるだろうと。不安もあったのですが、結果としてわかりやすい作品ができあがったと思っています。それは押井さんが原作の膨大な情報量を、映画の尺(作品時間)に収まるように、削りに削って磨き上げたなかでできあがったものだったんですが、結果としてそれが世界にも通用する、わかりやすさを生み出したんですね。そこからいい意味で調子に乗ってつくった(笑)のが第2作目となる映画『イノセンス(外国語版タイトル『GHOST IN THE SHELL 2。これは士郎さんの原作を押井さんの世界でさらに一歩推し進めたものになります。これらの映画シリーズは最大戦力で研ぎ澄まされたものをつくるというラインでした。

映画をつくっているときに、そことは違うラインを若いスタッフでつくりたくなったんですね。みんなでわいわいといろいろなアイデアを出して、作品をつくっていくようなラインに興味があったんです。そうしたら当時は若手だった神山健治さんはすごく勢いがあって、どんどん企画書を書いてきてくれた。当時の彼は飢えていたし、同時に「物語が書けるクリエイター」なんだなと感じさせるものがありました。じゃあ物語を軸にしたテレビシリーズの「攻殻機動隊」をやってみようということになったんです。

士郎さんご自身が描く「攻殻」と押井守版の「攻殻、神山健治版の「攻殻」はパラレル(並列)な関係なんです。世界観や設定、キャラクターは同じだけれど、そこからどんな作品にふくらませていくかは各クリエイターによるものなんですよね。

 

原作者・士郎正宗のスタンス

テレビアニメ版「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」のときの士郎さんの発言でよく覚えているのは「笑い男編』が視聴者に受け入れられることが、このシリーズが立ち上がるかどうかのカギになる」とおっしゃっていたことです。

笑い男」は神山さんの世界から出てきたオリジナルのキャラクターだったので、原作者によっては「こんなものはやらないでほしい」という人もいたかもしれない。けれど、そんなことを士郎さんは一切言わず、ブレないで腰を据えてつくってほしい」と伝えてくださるわけです。ぼくらはその士郎さんの想いに応えようと、神山監督がブレない環境をつくろうとしていました。

考えに考え抜いて
原作漫画の『攻殻機動隊』を
描いているから
ぼくらが何をやっても、
士郎正宗ワールドに
なるんです

士郎さんは考えに考え抜いて原作漫画の『攻殻機動隊』を描いているから、ぼくらが何をやっても、士郎正宗ワールドになるんです。あのころはそんな士郎ワールドに、スタッフもアニメーターも無我夢中で挑戦していたと思います。

映画『イノセンス』やテレビアニメ版「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」のときは出資者の方にかなり厚い予算を用意していただきましたが、第1作目のときは予算もそれほど大きくはありませんでした。アニメは実写映画に及ばないという当時の風潮に対する反骨精神もありましたし、あのころのProduction I.Gはまだまだ下請け会社としていつ潰れるかわからないような状況でした。

そのなかで1本ずついい作品をつくることが最大の武器になると思っていました。つまらないものをつくったら、もうあとがない。お金もスケジュールも限られているなかで、いかに最短距離で最大効率の作品をつくるか。悩む時間もないくらい無我夢中でやることが、結果として一時代をつくり、現在につながったんだなと思います。

 
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実写版『ゴースト・イン・ザ・シェル』の撮影現場を訪れて

実写版『ゴースト・イン・ザ・シェル』で、自分がいちばん興味をもっていたのは、押井さんや神山さん、川井憲次さん(映画版『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』イノセンス』音楽)が撮影現場を見たときの反応だったんですね。

実は最初、押井さんは現場に行くことにあまり前向きじゃなくて、宣伝に使われるんじゃないかとか、そういうことを気にしていたんです。でも、押井さんはやっぱり現場の人間なんですよね。われわれとは視点が違う。実際に撮影現場に足を運んだら、押井さんがレイアウト(撮影の構図)に注目していました。実写版のスタッフが本気でかかわっていることもわかったし、監督の言葉からも本気度が伝わってきて、ぼくらもこの作品を好きになることができた。一緒にこのメンバーで香港のロケ地へ行くことができてよかったなと思いましたね。

士郎さんが
本当に考えている
攻殻」の50パーセントも
映像化されていない

実写版『ゴースト・イン・ザ・シェル』の脚本を拝見したのですが、テレビアニメ版「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」に近い世界だなと思いました。だけど、読ませる脚本なんですよ。ハリウッドは脚本家を何人も入れて、何稿も重ねるというし、ある程度できあがっていたとしても没にしてしまう。脚本の開発期間もたっぷりと時間を取っている。その面白さを突き詰める貪欲さには恐れいりました。

映像へのこだわりもすごくて、ただアニメのシークエンスを実写で撮った次元ではないんです。作品として考えているし、このレヴェルでよいという妥協点が驚くほど高い。お客さんがいちばん喜ぶものをつくろうとしている。そのあたりは今回の実写映画から、ぼくらも教えられたなと思うところです。攻殻」の世界ってまだまだやり残しているところがあって、士郎さんが本当に考えている「攻殻」の50パーセントも映像化されていないんじゃないかなと思うんです。お客さんがまだまだ知らない「攻殻」がある。ぼくらとしては「攻殻」をもっと掘り下げていきたいと思っています。

 

 原作絶対主義、ではないけど、でもあの原作もTVシリーズも好きだから

もし実写を見て楽しめなかったらどうしようって迷いがあって

かりに好みじゃなかったとしても、実写を否定しないし原作と実写はそれぞれ別物だって思ってるから

んーでも、なんだろう初めて劇場で映画を見た時の衝撃とか作品に対して持ってる何かを傷つけるのが怖くて、ちょっとまだ見に行けないんかなーって思ってます

 

アクションシーンとか気になるから見たい気持ちもあるんですけどね、笑